スケールモデル研究所
タミヤイタレリ:1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
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タミヤイタレリ:1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<このキットについて>
イタリア企業が設計しているこの製品は、いろいろと国産キットと違うところがありますが、タミヤが扱っています。
イタリア製なので、使う塗料は「Model Master社」が案内されていますが、タミヤカラーの対応表が入っています。示されている色は黒、明灰、濃灰、赤、緑、白、銀、オリーブ色の8種類です。国産キットに比べると数が少ない感じです
戦後68年、フィリピンで作られたゼロ戦や帝国陸軍の戦車(タミヤ)がある昨今、外国製キットは珍しくありません。しかし、海外ブランドの製品Made in Italy、 本場の味とは一体どのようなものでしょうか。
タミヤイタレリ:1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<コクピットの製作>
イタリア製も初めはコクピットから組み立てて行きます。パーティングラインの修正に、タミヤモデラーズナイフが活躍します。カッターナイフとは、刃の向きが違うので作業効率がよく、きれいに仕上げるための立役者です。

シート座面の灰色と側部の黒との塗り分けを筆塗りしたところ、やはりはみ出してしまうので黒を塗っては、また灰色を・・・という具合に塗りました。
そして最後に薄めた流れのよい黒で境目をきれいにしました。新しい筆「タミヤの面相筆(細)」を買いました
1/72 ウォーバードコレクション No.79 三菱 零式艦上戦闘機五二型
<荷室内部のシート>
壁と一体型の部品です。これを赤、オリーブ色、明灰色で塗り分けます。椅子が24個もあるので吹き付け塗装としました。椅子と椅子の隙間は、明灰色を流し込みました
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<機体側面の窓>
透明部品の窓の接着に流し込みタイプを使いました。隙間に浸透して、はみ出しもなくしっかり接着できました。

<機首に重り>
機首をよく見ると重りが貼りつけてあります。ジェット機のモデルではおなじみ。これは前後の重量バランスを取るためのもので、これを入れないと、機首が軽すぎて尻もち状態の完成品になってしまいます。
こちらの重りは釣り具店で購入しました。いろいろな形や重さの重りが実に豊富に並んでいますので、あなたのお好みがきっと見つかります。ペンチで簡単に加工できる重りもたくさんあります。
1/72 ウォーバードコレクション No.79 三菱 零式艦上戦闘機五二型
<機体後部のローディングランプ>
完成後も荷室が見えるように、ローディングランプを作ります。
キットは閉じた状態を再現する一枚ものの部品なので、これを半分に切り、開閉できるようにします。
こうしないとせっかく塗ったシートも全く見えません。

カットするツールは二つ。一つはタミヤ製のこぎりを使いました。もうひとつはカッターを使いました。
その結果は、のこぎりは安全な作業、カッターはシャープな仕上がりが特徴でした。

今回はカットする部分が薄かったので、カッターでも作業できましたが、もし厚い部材だった場合、のこぎりが必要ですね。
ちなみにのこぎりでも、薄い刃のものも販売されていますので、それを使えば安全かつシャープな仕上がりになるはずです
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<ローディングランプの塗装>
塗る面積の小さいところを吹き付けてから、その部分をマスキングして、全体の広い面を吹き付けます。こうすればマスキングテープを貼る面積を少なくできるので効率的です。
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<ティルト可変エンジン>
このキット、エンジンが前向きか、上向きかの選択固定式です。実機の最大の特徴である可変機構を模型として再現できないのは残念なので、可変式にします。といっても、たいしたことはありません。角度を固定する部品を貼り付けないだけです。
さらに、キャップ状の部品も貼り付けなければ、エンジンをそっくり外せるようになります。収納時にコンパクトになる方がいいと考えました。模型も実機も。実機は翅(ローターブレード)をたたみ、さらに主翼を横向きにしてから、空母の格納庫など狭い場所にも収納できまるようになっています。コンパクト収納という点で実機と同様にしました。1/48オスプレイは大きなモデルですから。
さらに、可動部が完成後に故障することも考え、エンジンナセルの部品どうしの貼り付けにはタミヤボンドを使いました。
故障したらここをはがして修理可能です。するとどうでしょう…
本当に製作途中に可動部内部の部品が外れてしまい、早速修理となりました。
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<パーツの隙間>
今までの国産キットとは違う本場イタリアの味、パーツ間の隙間が多いこと、パーティングラインが残っていることです。それだけ国内メーカーの最近のモデルの精度が高いということですね。当製品は、パテで埋める、ナイフ等で整形するなど模型作りの基本が大事です。小さな部分や直線的に仕上げたい部分も多く棒やすり、紙やすりを棒や板に貼り付けたお手製工具等も活躍します。微妙に変形していて、部品どうしが合わない部品もあります。これらを接着するため、マスキングテープで(時にはセロテープでしっかりと)固定することもあります。一通り組み立てた後によく見れば、機体胴体や主翼、ブレード…あちらこちらに隙間や段差があることが発覚。パテを盛っては削ることに。模型作りの基本に帰り、作業を重ねました。このあたり、経験が積まれれば見極めが速くなるので、パーツどうしの仮あわせの時に、効率的に作業できるはずです。
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<タイヤ>
タイヤのパーティングラインの整形にはリューターを試してみました。車軸の穴にようじをさして、さらに太さをテープで合せて、それをリューターの軸受けに押し込みました。結果は良好で、リューターの軸ぶれがなければ、作業性がよかったです。これに味をしめ、ロクロようになるのではと思い、筆塗りにも試してみました。すると…、塗料が飛び散ってひどいことに!なる恐れありと思いますゆえ、お勧めできません。黒の塗装の仕上がりが今ひとつの出来栄えなので、エナメル系つや消し黒を全体に吹き付けたあと、真ん中の白いホイール部分だけ黒を拭き取りました。ホイールの白(つやあり)をラッカー系もしくはアクリル系で塗っておくことで、このようにあとから拭き取ることができます。拭き取りあとはスミいれをしたようになります。あ、でも、白い部分をマスキングゾルで覆ってから吹き付ける方法もありましたね。たぶんそのほうが仕上がりが白く美しいと思います
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<マスキング>
いつも面倒なマスキング。キャノピー部品では、テープを一旦貼って、線を描いてからカッターマットにはがしてから切り出します。さらに今回はテープに加え、GSIクレオスのマスキングゾル改も使って、隙間を塗って手軽にマスキング
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<機体の色>
塗料はダークグレイとミディアムグレイが案内されているので、この色で塗装してみたところ、ダークグレイでは少々暗すぎるように思います。明るく、青味がかった灰色なのです。もっとも、今回はツートンカラーがかっこよく決まったので、この色でOKです。
ちなみに、このダークグレイとミディアムグレイの組み合わせは、同じオスプレイでも空軍機の塗装であれば最適だと思われます。それとも一昔前は海兵隊機もこの色だったのでしょうか。詳しいことはよくわかりません…。

<最後の仕上げ>
仕上げは細かな部品の貼りつけとデカール、半つや消しのクリア吹き付けです。細かな部品にはボンドを使いました。このボンド、隙間の埋まり具合がよさと、うっかり触っても、部品がポキッと折れないところが気に入りました。デカールは苦戦しました。GSIクレオスのセッターとかソフターという選手も投入しましたが、イタリアのマークは厳しかったですね。デカールの上から、タミヤのアクリル・セミグロスクリア(半つや消し)を吹き付けて完成です
今回はいろいろな面で大作でした。写真で見るより完成品はかなり迫力があります。V-22オスプレイは日本のメーカー、「ヒコーキのハセガワ」からも1/72スケールでモデル化されましたから、ハセガワ製も作ってみたいですね。
でも1/48スケールは大きくて、なんと言うか、訴えてくるものがありますよ。「作ったなあ」という実感があります。それに値段も、ハセガワ製1/72の値段と比べると今なお魅力的でしょう。さらに日本のハセガワがモデル化するより何年も前に、イタレリはオスプレイをモデル化し、販売していたところが優れています。話題の新製品をいち早く導入していることがうかがえます。
さて、本場イタリアの味はどうかと作り始めたこのキット。その心は…安い、早い、デカい??お後がよろしいようで
1/48飛行機シリーズ 2622「V-22 オスプレイ」
<今回活躍したツール>
■タミヤのボンド
このボンド、侮るなかれ!素材を溶かさず、はみ出しもきれいに拭きとれて、乾けば無色透明です。しかも失敗したら、乾いた後にペリっとはがせます。
さらに粘り強く接着を保持する優れ物で、先が極細のノズルが大変重宝します。クリアキャノピーの接着の他、乾燥後も水でふやける特性があるので、取り外すかもしれない部分(可動部分のカバー等)の接着にも使えます。

■マスキングゾル(GSIクレオス)
定規をあてて切り出したテープは、直線には優れていますが、曲面が苦手です。また、細かな隙間にいちいちテープを貼るのも面倒なので、そういうところはゾルを使うのが効率的です。ただしこのゾルは入り組んだ部分を覆うことが苦手で、隙間などに入り込むと簡単にははがせなくなってしまいます。ただし、乾燥後も水に溶けるので洗い流すことはできますが。テープとゾル、それぞれの長所を生かして効率よく作業したいですね
■名脇役の紙やすり
使いやすいようにペーパーナイフで小さくカット。番手を裏書きしておくのが使いやすさの工夫です。#240、#320、#600、#800、#1000、#1500の充実のラインナップ。
細かい目で時間をかけて削っても、デコボコが滑らかになるだけでなかなか平らになりません。番手を揃えて順番に削ることがきれいに早く仕上げるポイントです。消しゴムやプラ板、棒やすり等に貼り付けるとよいです。

■タミヤのパテ(ラッカー系、白色)
隙間を埋めるために使います。白色なので、鮮やかな色を塗りたいときに適しています。下地の色(キットの成型色)が白色のモデルに使います。パテは合成樹脂とラッカー系溶剤でできているので、ラッカー系の塗料を混ぜることもできます。こうしてから使えば成型色に合わせること、カラフルなパテをつくることも可能かと。ちなみに初めから灰色のパテが普通に販売されていますので軍用には灰色が便利です。

■エアブラシの勧め
今回のV-22オスプレイ、機体上下の塗装の境目は、エアブラシを機体に近づけ、 少しずつ吹き付けてぼかし具合を調整しました。このような緻密な作業はエアブラシを使わなければ実現できませんが、実は、慣れてしまうと簡単な作業なのです。
ちなみに当研究室で使っているのは「タミヤスプレーワークバジャーエアブラシ」「タミヤスプレーワークコンプレッサーレボ」です。
エアブラシはダブルアクションというエアだけ吹き付けることができる「筆」です。この機能のおかげで、吹き付けながら乾燥させるという芸当もできるという便利な道具です。
「タミヤコンプレッサーレボ」は、本体のみで、レギュレーターなどの付属品が不要なタイプです。コンプレッサーがなくともエアだけ入った缶も販売されているので、とりあえず、それを使う方法もあります。メリットとしては初期費用が安いことと、モーターの音が全くしないことです。コンプレッサーのメリットは回数を重ねた場合の経済性と安定したエアの供給です。
エアブラシ本体は共通ですから、はじめはエア缶につないで使ってみて、2作品3作品と経験してからコンプレッサーを導入するというのも良いでしょう。
作る楽しみ、完成の喜びも模型作りの醍醐味です。けれども、エアブラシを導入すれば、製作技術が革新すること間違いなしで、さらに経験を積むことで自分自身が上達していくことそれ自体まで楽しめるでしょう。模型作りにおいて、これほど大きな魅力を得られるツールは他にないと思いますので、是非とも導入されることをお勧めします。

ちなみに、コンプレッサーレボの作動音ですが、想像よりも静かだと思いますよ。イメージするなら金魚の水槽にいれるぶくぶく空気を送るポンプとよく似た音です。
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