スケールモデル研究所
ハセガワ:1:72スケール 飛行機D11 川崎 T-4“ブルーインパルス
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ハセガワ:1:72スケール 飛行機D11 川崎 T-4“ブルーインパルス
<ハセガワ:1:72スケール川崎 T-4“ブルーインパルス>

T-4とは川崎重工が主契約企業となり設計、製造した純国産のジェット練習機です。ライセンス生産したF-15など「アメリカ生まれの戦闘機」もMADE IN JAPANですが、エンジン(IHI製)を含め全てが国産というのは珍しいです。
初飛行は1985年、機体は低速での運動性能がF-15イーグル戦闘機よりも優秀と言われるほど。自衛隊の戦闘機乗りはこのT-4での訓練を経て、次のF-2やF-15などの戦闘機の操縦訓練に進みます。

<ブルーインパルス>
航空自衛隊のアクロバット飛行を専門とする飛行隊で、誕生したのは1960年。1964年の東京オリンピックの際に大空に五輪を描くなど国民的行事にも度々演技を披露してきました。制式部隊名は「第4航空団飛行群第11飛行隊」で宮城県の松島基地を本拠地にて、広報活動を主な任務とし、展示飛行を専門に行う部隊となっています。 そのメンバーは航空自衛隊の腕利きパイロットが3年の任期で務めていて、文字通り航空自衛隊の顔として広報の表舞台で重要な役割を果たしています。 使用する機体はF-86F、T-2を経て、現在はT-4となりました。T-4は低速における運動性能に優れているので、水平方向の演技だけでなく、宙返りなど垂直方向の演技も巧みに行え、演技と演技の間隔をあまり空けることなく展示飛行ができるようになりました。
<キットについて>
良品です。加工しないとはまらないという部品はありませんので、組み立ては難しくありません。 仕上がりを追及していけば際限がありませんが、多少の段差、隙間を埋める作業を行いました。 ラッカーパテをわずかに筆にとって隙間に塗り、ラッカーうすめ液で表面を滑らかにしつつ、余分を拭き取るといった具合。 この筆は先日導入した「タミヤモデリングブラシHG 面相筆細」と「同超極細」。筆にコシがあって非常にいいです。「タミヤラッカーパテホワイト」とともに活躍しました。
ハセガワ:1:72スケール 飛行機D11 川崎 T-4“ブルーインパルス
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段差はパテで埋める
主翼の貼りつけ。垂れてくるのでテープで仮止めが必要
空気取り入れ口内側に段差があるので削る
機体裏面の様子
ハセガワ:1:72スケール 飛行機D11 川崎 T-4“ブルーインパルス
<塗装しない素組の状態>
隙間埋めに使ったパテは白いので、この状態で形がよくわかります。
白い機体がグライダーのようです。
ここまでの無塗装組立工程の実作業時間は6時間ぐらいでした。
段差や隙間をパテで埋める時間がなかった、前回のF-35(ハセガワ製1/72)は約2時間でしたから、新しいキットの進化というのは素晴らしいです。

怠惰は発明の母。
<塗装作業>
組み立てを優先してコクピットの塗装もしなかったのは非効率でした。コクピットの筆塗り作業から始め、乾燥後に計器類のデカールを苦労しながら貼りました。

<機体の塗装>
青と白の塗り分けが今回の山場です。機体のパネルラインなどをできるだけ残すため、塗膜は薄くしたいところ。
後で塗る青い部分をマスキングして白い部分から塗装します。直線部分も曲線部分も境目に塗料が浸入しないよう確実に貼り付ける必要があります。 したがって、曲線部分は、細く、できるだけ途中に継ぎ目ができないよう長く切出して貼りました。
長い直線部分は細長く切ったテープをピンと張った状態にして貼り付けました。この作業のため、ピンセットの先をやすりで研いでおきました。 このマスキング作業を「いかに美しく仕上げるか」が機体の仕上がりを左右します。
塗り始めたところ、パテの部分との色の差が出てしまいました。 この色の差をそろえようと、白の上から下地塗料のベースホワイトを吹き付けたところ、塗膜が縮んでしまいひび割れが発生してしまいました。 研究とは失敗の連続です。
GSIクレオス「ラッカーうすめ液」に同社の「真・溶媒液」を半分ぐらい混ぜて塗装を全て取り除きました。 この「半分ぐらい混ぜる」というのは、以前の失敗から学んだ教訓です。何しろ前回は機体の表面を溶かしてしまったのですから。
機体が白くなりました。この作業は6時間ぐらいでした。失敗しなければもっと早いのですがねぇ。
白を塗ったら青です。
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ハセガワ:1:72スケール 飛行機D11 川崎 T-4“ブルーインパルス
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操縦席だけ塗ってみると
操縦席だけ塗ってみると~アップ
あとタイヤを塗れば結構イケると思う
空気取り入れ口の奥が白いので
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黒く塗ったところ
溶きパテを白色の上に塗装したら割れてしまった
下地の白色から塗り直し
白塗装の前に
<青色塗料>
T-4ブルーインパルス専用の特色セットがGSIクレオスMr.カラーで販売されていますのでお勧めします。
しかし、当研究室の場合には色の在庫(整理対象か)があるので、「フタロシアニンブルー」とか「ホワイト」とか「色の源シアン」とか混ぜて作ってみます。いずれもラッカー系ですから塗装ブースで換気扇を使用して作業です。 色の調合も結構楽しいものです。

<マスキング作業>
青色塗装の部分に貼ってあったテープをはがして、白く塗装した部分を新たにマスキングします。
マスキングを剥がすと多少塗料が入り込んだ部分がありました。また、マスキング部分との段差が目立つところもありました。
こういうところは1000番、2000番の耐水ペーパーで磨いておきましょう。
いつも思うのですが、マスキング作業とは手間のかかる作業です。このマスキング(青色塗装準備)に3時間程度かかりました。
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ハセガワ:1:72スケール 飛行機D11 川崎 T-4“ブルーインパルス
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青塗装の前に
マスキング塗装の練習を兼ねてタンクで練習
剥がしてみると成功 細く切ったマスキングが曲面
青塗装
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塗装の段差がひどく塗装のやり直し
青塗装をやり直し
できるだけ均一になめらかに塗装したい
今度は成功
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はみ出したらふき取る
つやの仕上がりを検査
検査はB評価で合格
キャノピーと機首をマスキングしてクリア塗装の準備
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つや消し黒のあとに銀の粉で磨く
タンクは両面テープで脱着式
基地間の移動などではタンクをつけて航続距離を伸ばせる
タンクなし
<最後の仕上げ>
着色塗装を仕上げた機体にデカールを貼っていきます。キットには、1番機から6番機まで作り分けができるように、機体番号や機付き長ネームなどが6種類付属しています。 デカールの上からクリア塗装をします。デカールをしわくちゃにしないよう、少しずつ吹きかけました。

<まめ知識>
自衛隊機には機体ごとに整備を担当するメカニックの総責任者が割り当てられていて、その責任者のことを「機付長(きつきちょう)」と呼びます。このキットではエアインテーク左側に名前がデカールで再現されています。 この名前はパイロットではなく機付長で、機体はいわば機付長の愛機。日本の航空自衛隊では特定の機体にパイロットを割り当てず、整備兵を割り当てています。ちなみにブルーインパルスを整備している隊員のことを「ドルフィンキーパー」と呼びます。

<総括>
白と青の塗り分けが何と言っても最大のテーマ。美しく塗り分けるため試行錯誤を繰り返しました。境目を美しく仕上げるにはまずマスキング。「どうせ塗装が終われば捨ててしまう」ものですが、ここに作業の要がありました。 また、つやあり塗装は塗膜をいかに均一に平滑にするかが重要です。塗料をかなり薄めて、何層かに分けて、薄く、均一に吹き付けていく方法を試みました。どうやら私は濃くする傾向があるらしく、「薄めすぎかな」と思うぐらいでちょうどよかったです。 実は、塗り分けの境目に段差が目立つところがあり、せっかく仕上げた塗装をはがし、やり直したところもありました。 今回のようなハッキリした塗り分けを作業したのが初。出来はまだまだですが、初回にしては許容範囲内かと。 マスキングテープの上に塗料がのらないように、かつ、テープの際の部分が薄くならないよう正確な吹き付け、平滑な表面仕上げの吹き付けなどなど、質の高い塗装技術の獲得を目指して研究を続けます
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